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ザ・スーパー・ポップ宣言

私の好きな甘茶10

私の好きな甘茶ソウル(10)
MY FAVORITE SWEET SOUL (10)

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マニアック甘茶ソウル@YOU TUBE


【 甘茶偏差値 65

REALISTICS / YOU'RE MY SWEET (CHOCOLATE DROPS) (BRUNSWICK 55497)'73

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謎の甘茶ソウルグループREALISTICSで取り上げた数種類のリアリスティックス。この曲はそのうちの70年代前半にアメリカのBRUNSWICKに数曲残した方のグループのもの。華やかで大仰なイントロが特徴的ですが、続くのは明るく可愛らしいファルセット群。こういう曲を女性ではなく男性コーラス・グループが歌っちゃうところが70年代ソウルの面白いところですね。男性ファルセットにハイテナー、テナーがめまぐるしく絡みあう凝った展開。メロディもポップでキャッチーだし、瑞々しいヴォーカル・ワーク、そしてリード・ファルセットの声質も魅力的です。特に明るく可愛らしくランララ、ランラ歌うところがイイね。キャンディーのように小粒だけどピリリと引き締まった甘茶小唄ってところですかねえ。こんな可愛い曲ならば萌え声の女性ヴォーカル版も聴いてみたいところ。

「YOU TUBE」で聴けます。

REDD HOTT / YOU FOR ME LP(VENTURE 1010)'82

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U.S.BDG #451で紹介されているアルバム「#1」収録。プロデュースはジョージ・カー。本アルバムは82年産ということで、70年代にニュージャージーで味は有るが音の悪いプロデュースをしていた頃とはガラリと違ったアレンジを聴かせてくれます。ここではキラキラとした装飾音が特徴的になっていて、やはり才能のある人はいつの時代でも輝けるのだなと。甘茶ソウルとして特筆すべきもう一点は、バックコーラスの甘く優しい歌声。落ち着き、どこか達観したかのような包容力のある大人の佇まいという感じがイイね。一応(笑)リードの歌もあるんだけど、完全に上記2点に埋もれてしまってますね。悪くはないんだけれど、これがファルセット・リードだったらもっと素晴らしい曲になっていたのではないかと思ったりして。

「YOU TUBE」で聴けます。

R & J STONE / WE DO IT (RCA 2616)'75

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かなり白いメロディが特徴的なデュオによる75年のスウィートソウル。最初に歌う方が妙に白っぽい感じだけど、次に歌う方は正統的甘茶ファルセット。情感たっぷりにねっちょりと歌い上げるところが好印象。後半の我を忘れたかのような大仰な盛り上がりぶりがまたね。「YOU TUBE」で聴けますので早速お試し下さい。

さて、いかがでしたでしょうか。

この曲は、古くからのソウルファンには結構知られているらしいのですが、私はこのデュオのことを全く知りませんでした。甘百にも載ってませんしね。それで今回このレビューを書くにあたってこの曲を「YOU TUBE」で探し、見つけてビックリ。なんとこの曲のPVやらスタジオライブ版まであるじゃないですか。いやあ便利な世の中になったものです、、、ってお前ら白人+女性だったんかい(笑)。

どうもコメント欄なんかを読むと、イギリスのRussell Stoneという白人男性とアメリカのJoanne Stoneという黒人女性との夫婦デュオみたいですね。うーん、こうした便利な動画投稿サイトによって新たな発見がある一方、知らなきゃ良かった事まで知れてしまうという。まあ、これもまた一興ってところですかねえ。

7TH WONDER(SEVENTH WONDER) / PEOPLE IN LOVE LP(PARACHUTE 9004)'78

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U.S.BDG #173で「第7の不思議」というヴォーカル&インスト・グループの78年の1STアルバム「Words Don't Say Enough」収録曲。南部のアラバマ出身というだけあって、どこかのんびりとした牧歌的な雰囲気が漂っています。おどけた調子のホーンから始まるこの曲は、気負いや気取ったところを感じさせず自然体な姿勢に好感が持てますね。そんな軽快で小気味いいトラックに載せてハイテナー・リードにファルセット・コーラスが楽しそうに歌います。更に「ラララー」というフレーズが爽やかこの上なく、柑橘系の甘酸っぱさを感じさせるのです。この明るく快活なメロディに瑞々しいボーカルワークというのは「PRESIDENTS」に通じる新鮮さを感じさせますネ。70年代ソウルにはちょっと珍しいタイプのフレッシュさと軽やかさを兼ね揃えたこの曲は、フリーソウル・ファンにも受け入れ易そう。

NOT ON LPで希少で人気の曲ばかりが収録された海賊盤「SOUL FROM THE VAULT RARE SWEET DYNAMITE VOL.7」に、不思議にもポツンと収録されていました。(しかし、この選者とは嗜好が合い過ぎるな。) こちらさんのブログで Patti Austin によるカバーと併せて聴くことが出来ます。

SHOCK / Why Should I Forgive You (SHIROCCO 101)'76

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BRUCE CLARKEプロデュースでP-VINEからの彼絡みの作品集「MYSTIC SOUL FROM NEW YORK CITY (PCD-5387)」「THE ESSENTIAL SWEET SOUL SELECTION (GOLDMINE GSCD4Z)」にも収録されてます。前者の解説では鈴木啓志さんもこのグループの正体は全く不明とのこと。

曲は約5分と長めのソウルバラード。サウンドはピアノを主体とした音密度の低い静かで上品なもの。タイトルをゆったりと繰り返すコーラスはまるで悠久の時の流れを見守る大河のようにどっしりと落ち着き、世を達観したかのようなムードに満ちています。リードはバリトンでファルセットが絡みつくような形で展開。時折語りを交えたりしながらも徐々に盛り上げていきます。序盤こそ譜面に忠実に歌われていきますが、後半テンションが高まりきってからは譜面など有って無きが如くの歌いまわし。最後は忘我の境地に陥った大絶唱合戦で、将にこれぞ70年代ソウルの醍醐味。こうした自分を省みず、周りの空気を全く読まない心意気こそが世の中を熱くさせるのです。

SMITH BROTHERS / CHECK ME OUT (GOLD FUTURE 1)

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SMITH CONNECTIONの前身グループで甘茶ソウル百科事典掲載曲(P.44)。スミス・コネクションはアルバムも残せた程の実力派だけど、その甘茶センスは抜群で突出したものがありましたね。このスミス・ブラザーズも同様でやっぱり流石のスウィート・センスだなと感心させられます。パステル・カラーを感じさせるような繊細で淡い色彩が目に浮かびそうな素敵な曲。特にサビ部分の絶妙なハモリ具合が素晴らしい。囁くような甘く柔らかな唱法に、個々の声質も味わい深く魅力的。スミス・コネクション時代ほど垢抜けていないところがまたマニア心を擽りますねえ。

「YOU TUBE」で聴けます。

SMITH BROTHERS / LET ME TAKE CARE OF YOUR HEART (SHIELD RECORDS 6102)'76

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傑作甘茶ソウルLP「UNDER MY WINGS」を残したSMITH CONNECTIONの変名グループ。彼等の卓越した甘茶センスはここでも健在。甘く品の良いサウンドに乗って、ファルセット・コーラスも大甘に、華やかに曲を飾り立てます。この曲で聴けるセンス抜群のコーラス・アレンジは甘茶ソウル史上最も素晴らしいものと言っても過言ではないでしょう。特に「フゥウウゥー」とコーラスがグググッと盛り上がっていく瞬間の甘さ加減といったらないネ。

「YOU TUBE」で聴けます。

SMITH CONNECTION / THE DAY YOU LEAVE LP(MUSIC MERCHANT 105)'72

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デトロイトのスミス兄弟の72年のデビューアルバム「UNDER MY WINGS」収録曲。このアルバムは他にも多数の優良甘茶ソウルが収録されている歴史的名盤ですね。爽やかな甘茶、甘酸っぱい甘茶、明るく肯定感のある甘茶等など様々なタイプがありますが、アルバム冒頭を飾るこの曲は少し暗めの曲調。お洒落で洗練された雰囲気のピアノに続き、情緒的かつ神秘的なシタールの甘い音色が響き渡るイントロがなんとも素晴らしい。悲し気なリードに厚めのコーラスがサポート。甘酸っぱくも胸にキュンとくるメロディが秀逸でサビもなかなかキャッチーです。全体を通して入るシタールも効果的だけど、もう少しピアノも絡んで欲しかったかな。

ソウルに限らず60/70年代はインド発祥の民族弦楽器シタールがよく用いられたけれど、70年代甘茶ソウルとの相性もバッチリでしたね。80年代以降はあまり使われなくなったようで、今にして振り返ればこの曲が実に幸運な出会いの元に作られたのだなと思います。歴史的にみて今後このような楽曲が作られることは二度と無いだろうことは残念だけれど、逆にこの曲の希少な儚くも美しい魅力が際立つ感じがします。アルバム・バージョンはイントロがピアノでちょっとお洒落な趣きなのに対し、シングル・バージョンはそのピアノが欠けていて時間が若干短いのでアルバム・バージョンの方がお勧めです。

「YOU TUBE」で聴けます。

SMOKEY ROBINSON / BABY COME CLOSE (TAMLA 54239)'73

Smokey Robinson Baby Come Close ep.JPG Smokey Robinson smokey.jpg

73年のソロアルバム「SMOKEY (TAMLA 328)」収録。SMOKEY ROBINSONと言えばMIRACLES時代の「OOH BABY BABY」が甘茶ソウル百科事典にも大きく取り上げられ、言わば代表曲のようになっているけど、個人的には大味で飽き易くあまり評価は高くない。然しながら「BEING WITH YOU」,「QUIET STORM」,「WE'VE GONE TOO FAR TO END IT NOW」,「THE AGONY AND THE ECSTASY」,「DAYLIGHT AND DARKNESS」など他にも多くの甘茶良曲が有り偉大な歌手であることは間違いない。

【女性を口説く為の究極のBGMベスト10(スウィート・ソウル編)】にも選出したこの曲は、淡白な味わい故に飽きのこない名曲。真夜中の静寂と冷えた空気。闇夜に響く神聖なオルガン、品の有る弦の音色。トロリとした甘みのあるギターにスモーキーの優しい歌声。それらが美しいメロディと一体となって現実には存在し得ない甘ーい亜空間を作り上げている。そして、この曲もまた「クワイエット・ストーム」という言葉が似合う極上のスウィートソウルと言えるんじゃないかな。

「YOU TUBE」で聴けます。

SMOKEY ROBINSON / MERRY-GO-RIDE LP(TAMLA 6001)'82



ソウルというかブラックミュージック界の大御所、スモーキーロビンソンの82年のアルバム「YES IT'S YOU LADY」収録曲。スモーキーについては、YES IT'S YOU LADYBABY COME CLOSEを取り上げ済みですが、他にも多くの優良スウィートを残している甘茶界の偉人でもあります。本曲は幻想的な曲調にまるで子守歌のようにソフトに歌われるのが特徴的な甘茶ソウル。メリーゴーラウンドにはずれ無しでもコメントしましたが、この曲も数多くあるMERRY-GO系のソウル名曲と言えるでしょう。そもそもMERRY-GO-ROUND(回転木馬)は「楽しく回ろう」という意味らしいですが、そうなるとここでのMERRY-GO-RIDE OF LOVEというのは、「素敵な愛の乗り物」ぐらいの意味あいになりますかね。まあ、歌詞は他愛のないものですが、幻想的で淡く静かなサウンドに甘くクド過ぎないメロディ、スモーキーの甘く優しい歌声の織り成す本曲はリラックスするBGMに最適という感じ。メイクラブのお供や就寝前の子守歌なんかに適しているのではないでしょうか。シングルカットもされず山下達郎SSBでも未ということで、スウィートソウルファンにもあまり知られていない隠れた名曲と言えるでしょう。

「YOU TUBE」で聴けます。

SMOKEY ROBINSON / YES IT'S YOU LADY LP(TAMLA 6001)'82



60年代初頭のミラクルズ時代から大活躍していたモータウンを代表するアーチストの一人。ポピュラーヒットだけでなく多くのスウィートソウル良曲も発表していて、当ブログでは既に73年の「BABY COME CLOSE」を取り上げています。そういえば江口寿史の単行本「THIS IS ROCK」にスモーキーのコンサートに行ったら「渋谷陽一が立ち上がってノリまくっていた」という話が載っていたことを思い出しました。ソウルの、というよりポピュラー・ミュージックのファンにも大人気のアーチストという感じですね。

82年のアルバムタイトルのこの曲もそんな彼の特徴を表したかのような良曲。甘く切ないながらもポップスとして万人に親しまれそうなポピュラリティを持っている。特にサビのメロディはちょっと胸キュンもの。これスモーキーの自作曲なんだけど歌って良し、曲を書いて良し、しかも30年以上と長く現役で活躍し続けていたんですからもはや偉人と言っても過言ではないかも。甘茶ソウル不毛の80年代初頭でも安定した魅力ある甘茶曲を提供し続けた才能は素晴らし過ぎますね。

「YOU TUBE」で聴けます。

SOUL GENERATION / Praying For A Miracle (EBONY SOUND 183)'74

SOUL GENERATION  Praying For A Miracle.jpg soul generation

ソウル・ジェネレイションのシングルオンリー曲でVAN MCCOYの作品。甘茶ソウルのNO.1アルバムと言っても過言ではない彼らのCDアルバム「BEYOND BODY & SOUL (PCD-2321)」にボーナストラックとして収録されています。甘茶ソウルには珍しいミディアム曲で甘さとウォーキンテンポがうまくマッチしたナイスな出来。憂いを帯びたイントロの甘いギターが名曲の予感を抱かせますが、やはり期待通りの素晴らしい甘茶世界が展開されます。リードのクリフ・パーキンスの切ないファルセットにコーラスが程よく絡み、悲しみに満ちたサビも実にキャッチー。Bメロの出来も素晴らしいんだけど、サビを何度も繰り返す展開がいまいち単調で、繰り返し聴くと飽き易いのが珠に瑕。途中1分ぐらい間奏やら語りが入ったりするロング・バージョンとか存在しないんですかねえ。誰か作ってくれないかなあ。

「YOU TUBE」で聴けます。

SPRING / TALK TO THE RAIN (NINE CHAINS 401)'73

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2枚のシングルを残して消えたグループ、スプリングの甘茶小唄。P-VINEから2007年に発売されたコンピ、MAINSTREAM SOUL SURVEY "TALK TO THE RAIN"ではタイトルに選出されました。

イントロの歯切れのいいポップなコーラスがやたらキャッチーですね。「雨に話しかける」なんて歌詞で如何にも乙女チックで可愛らしい曲ですが、歌っているのは黒人男性でファルセット(裏声)。この設定で何故男性が歌う必要があるのか?と疑問に思われる方も多いでしょうが、そこは甘美な甘茶ソウルの世界。男の娘が歌うからこその色気、妖艶さという魅力が隠されているのです。仮にこの曲を女性が歌っていたら一体どれほど可愛らしさ、魅力を醸し出すことが出来たでしょうか?こんな可愛い歌声が女の子であるはずがありませんよね。

「YOU TUBE」で聴けます。

STAR MATERIAL / I NEED YOU (SPRITE 100)'76

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甘茶ソウル百科事典未掲載曲。レーベルを見るとヴァージニア州リッチモンドのグループっぽい。この一枚のみを残して消えてしまった模様。76年産というのが通説みたいだけどバックのシンセを大幅に取り入れたサウンドを考えるとちょっと疑問が残るかな。ファルセットリードが大仰に盛り上がるスタイルはズバリ70年代中期の甘茶ソウル黄金時代って感じですが。曲はちょっと素人っぽくいまいち垢抜けない作りだけど、メロディは切なく全体として甘くロマンチックなムードがいい感じ。コーラスがウーウーウーと盛り上げる箇所の一瞬の切れ味は鋭く、ハートにピリリと斬りこんできます。ここが最大の聴き所でしょう。たった一枚のみを残して消えてしまったというエピソードが絡み余計に切なく感じられてグッド!これでバックが安っぽいシンセでなく、きっちりとしたストリングスだったら良かったのにね。

「YOU TUBE」で聴けます。

SWEET JAMES EPPS / LOVE AT FIRST SIGHT (MOTORPOOL 3183)'83



甘茶ファンには全く人気の無いデトロイトのグループ、FANTASTIC FOURのリードだったジェイムス・エップスがグループ解散後83年頃に出した曲。「一目惚れ」という意味の曲ですが、そんな初々しくも軽やかなタイトルとは裏腹に濃厚でねっちょりとした大人の世界を体現した曲。シタールが入る甘茶ソウル仕様の甘いサウンド、洗練された雰囲気を醸す女性コーラスをバックにジェイムスのヴォーカルもこってりと歌い上げていきます。ちょっと憂いを帯びた甘いメロディも秀逸ですが、それらが一体となって出来上がった世界のなんと官能的なことよ。酸いも甘いも知り尽くした大人の甘茶ソウルって感じですねえ。個人的に若い頃はそれほど良いとは思わなかったんだけど、年をとってようやくこの曲の真の良さが分かってきた感じです。

「YOU TUBE」で聴けます。

Sylvia and Ralfi Pagan / Soul je t'aime (Long Version) '73 「Sweet Stuff」

sylvia sweet

1969年に世界的ヒットとなったSerge Gainsbourg & Jane Birkinによる官能ソングのソウル・カバー。性交中の男女が自らの肉体の状態を描写する歌詞に女性の喘ぎ声が挿入されるという内容。secondhandsongsによるとオリジナルは1966年のMichel Colombierによるインスト版とのことで、世界中で119ものカバーが存在する。Donna Summerによるディスコもの、Psychic TVによるサイケものなど様々だが、Paul MauriatやCaravelliといったオーケストラ・カバーがオリジナルの良さを損なうことなく上品に仕上げた好内容でお勧めです。

1973年にRalfi Paganとのデュエットでカバーしたのが、ニュージャージー・ソウルの女帝シルビア。その官能的内容からエロティックなソウルを得意とするシルビアがカバーしたのは必然といった感じですね。バーキン版同様オルガンの清らかながらも物悲しい響きが特徴的で、悠久の時の流れを感じさせるかのようなゆったりとした曲調により、過激な性的内容であるにもかかわらず実にリラックスに適した出来となっています。さほどバーキン版と違った独自性を打ち出した訳ではないけれど、ソウルファン向けでエロティックなムードに浸りたい時などに良いのではないでしょうか。なお、日本盤や後の再発盤のアルバムSweet Stuffにはロングバージョンが収録されています。後半のインストパートが長いので、この曲の良さがより活きた内容でお勧めです。

「YOU TUBE」で聴けます。

Serge Gainsbourg & Jane Birkin / Je t'aime... moi non plus

Caravelli / Je t'aime... moi non plus

TEDDY PENDERGRASS / YOU'RE MY LATEST, MY GREATEST INSPIRATION LP(PHILADELPHIA INTERNATIONAL 37491)'81



Harold Melvin and The Blue Notesのリード歌手、テディ・ペンダーグラスのソロアルバム「IT'S TIME FOR LOVE」収録曲。ギャンブル=ハフ製作で将にフィリーソウルの王道バラードといった感じですね。所謂ファルセットではないので比較的馴染みやすいかも。一種神聖的な雰囲気さえ漂う曲調で、バックのサウンドも静かで淡白ですが、逆に極限まで洗練された大人のサウンドだなと感じます。メロディもなだらかで美しいですねえ。そして単にそれだけでは終わらないのがこの曲の素晴らしい所で、後半はどんどん盛り上がっていきます。テディペンのスケールの大きな円熟した歌いまわし、それを盛り立てる「HIGHER,HIGHER」というコーラス。最後に感極まってファルセットになっちゃうところなんて実に感動的です。

「YOU TUBE」で聴けます。全盛期とも言える82年のロンドンでのライヴテイクも素晴らしい。

TOMORROW'S PROMISE / NEVER TAKE YOUR LOVE AWAY (MERCURY 73644)'74

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アルバムを残さなかったけど、非常に質の高い甘茶ソウルを複数残したトゥモロウズ・プロミス。同じ境遇と言えるガスライトと並びマニアには非常に人気のグループですね。既に当ブログではシングルリストHE DON'T LOVE YOU LIKE I DOSHOULD I FOLLOW MY HEARTYOU'RE SWEET, YOU'RE FINE, YOU'RE EVERYTHING、などを取り上げています。

本曲も上記曲同様グレイドは高く、その繊細で儚く淡い世界は健在。ちょっと暗く悲し気な曲ではあるけどヴォーカルとコーラスの織り成す甘いハーモニーが素晴らしい。なお、この曲を聴くとテナーとファルセットの二人が交互にリードをとっている模様。メロディもどこをとっても高水準ですが、やはりサビが一番魅力的かな。DISOGSをみるとボルティモアのグループでSULTANSという前身となるグループがあったみたいだけど録音は残さなかったんですかねえ。1973年から1975年までの僅か3年しか活動しなかったのを非常に残念に感じるけれども、それはそれで良かったのかも。CAPITOLとMERCURYで合計5枚のシングルなので移籍さえなければアルバムも残せてた感じ。因みに曲のクレジットを見ると作曲者は見事にバラバラ。逆にこんなにバラバラながらも曲の完成度と魅力度がどれも等しく高水準であることに驚かされますね。彼らに対する期待の高さと彼らの実力の高さの証左とも言えるのかな。

「YOU TUBE」で聴けます。

TOMORROW'S PROMISE / YOU'RE SWEET, YOU'RE FINE, YOU'RE EVERYTHING (CAPITOL 3695)'73

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この曲は2006年にR&BシンガーのGlenn Jonesがカバーしたことでも話題になりました。細めのファルセットで情感たっぷりに歌われる甘茶ソウル。流石にメジャーな歌手にカバーされるだけあって、メロディもなかなかキャッチーです。逆に言えばその分「HE DON'T LOVE YOU LIKE I DO」で聴けたギリギリ感が希薄になっているのもまた事実かな。

TOPICS - A CHOICE OF A MILLION GIRLS (TOKEN 007)

TOPICS WANTED LIVE BY A MILLION GIRLS.jpg SOULFUL THANGS VOL.3

既に一度レビューした甘茶コンピ「SOULFUL THANGS VOL.3 '05」を再度聴いてたら、思わず「何これ!こんなのあったの?!」と驚いてしまったのがこの曲。既にレビューを読んで頂いた皆さん、申し訳ない。聴き漏らしてました、こんな凄いのを。

イントロのエレピ?とシンセの奏でるメロディの濃密な甘い雰囲気はただ事ではなく、まさにその部分だけで犯られてしまいました。そのフレーズは曲全体で繰り返し使われ、俗世離れした、異様なまでの甘さを醸し出しています。ドタバタした曲の構成やBメロはいまひとつも、サビのコーラスのリフレインはなかなか甘くて美味。途中語り&パパパコーラスも入り甘茶のオカズをしっかり押さえていて嬉しい。

CDのジャケを見るとこのTOKEN皿の写真とともに、甘茶ソウル百科事典P.43「私の甘茶自慢」での高沢仁氏の自慢皿「THE TOPICS WANTED LIVE! BY A MILLION GIRLS (NCS 601)」のジャケも出ている事や曲のタイトルも似ていることからおそらく両者は同一グループと思われます。なお、日本盤も出たTSGのトピックスとは別グループのようです。

その後分かったことですが、SHOWER ME WITH MUSICさんによると彼等のアルバム「WANTED LIVE!」には、この曲以外にスロウは2曲収録されていて、どちらもこの曲のようなファルセット主体ではなく、「それなりに良い出来」、「甘茶好きな方からすると物足りない内容かもしれない」そうです。

TOUCH OF CLASS / GOD BLESS ME (MIDLAND INTERNATIONAL MB-10545)'76

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70年代後半中心に活躍したフィラデルフィアの4~3人組コーラスグループ、タッチオブクラスのアルバム未収録のシングルB面曲。(A面は「Don't Want No Other Lover」)意外なことにU.S.BDG、甘茶ソウル百科事典共に記載は無いけど、しっかりとしたアルバムを3枚残している中堅グループ。プロデュースとアレンジはJOHN DAVISで恐らく1STアルバムと同じ製作陣による作品だろうけど何故かアルバムには未収録。そういった訳で埋没ぎみなので甘茶ファンにはしっかり押さえて欲しいところです。

曲はフィリー録音でほぼ甘茶ソウル黄金期の作りということで安定した完成度。出だしこそゆったりとした悲し気なメロディだけど徐々に盛り上がっていきサビは肯定感と多幸感に満ちた感じ。実に胸に沁み心が洗われるような感動的なメロディですね。リードの声質もなかなか味が有るし甘いコーラスや品の良いストリングスなどバックも素晴らしい。甘茶的に「GOD BLESS ME」という歌詞は気に入らないけど、雰囲気的に宗教色はほとんど感じさせず幾多ある甘茶ソウルの名曲群の一つとして位置づけられるでしょう。(アマゾンなどで良い音で配信されているようです。)

「YOU TUBE」で聴けます。

WESTWING / FALLING IN LOVE IS A NO NO (20TH CENTURY 2049)'73

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バリーホワイトPによる西海岸の男性4人組ヴォーカル・グループの曲で、同じ20TH CENTURYからの「TOM BROCK / HAVE A NICE WEEKEND BABY (甘百P.60)」に似たメロディを持つ大仰な甘茶ソウル。2008年に歴史的甘茶コンピ「SOUL GALAXY - GAMBLING TO SWEET HARMONY」に収録され綺麗な音で聴けるようになりました。癖のないリードによる穏やかで滑らかなA,Bメロは耳に優しい内容。そこから急展開でファルセットリードとコーラスで悲しみ一杯に盛り上がります。この遠慮なしに目一杯盛り上がるサビが70年代甘茶ソウルの醍醐味ですね。上品で甘いストリングス入りサウンドも良い。

「YOU TUBE」で聴けます。

サザンオールスターズ / わすれじのレイド・バック (ビクター VIHX-1509)'80

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桑田佳祐作曲でオリジナルアルバム未収録。湯水のように良曲を連発していた1980年、サードアルバムのしばらく後に発表されました。甘茶ソウルというよりは南部っぽい雰囲気から、サザン・ソウルといった趣きですかね。牧歌的な曲調でゆったりとした平和な空気が流れて和めます。日本人の琴線撫でまくりの稀代のソングライター桑田佳祐の力がいかんなく発揮された、どこを切っても金太郎飴的に素晴らしいメロディ。

ヴォーカルはいかにも桑田佳祐的な粘着質で情感深くちょっとソウルフルなもの。私がこの曲に甘茶を感じる最大のポイントは郷愁を誘うどこか懐かしい胸キュン・メロディ。新譜で聴いた当時でさえ、どこに有るとも知れない古き懐かしき良き時代を彷彿させたのは一体何故?最後に添えられるラララ斉唱も感動的で素晴らしい演出です。これが子供声コーラスだったり泣きハーモニカ入りだったりした日には大変なことになっていたでしょうね。

タイトルの意味はこちらの方の「わすれじのレイドバック」論でのご推測「わすれないだろう あのゆったりとした日々を・・・」で合っていると思います。

小沢健二 / 天使たちのシーン CD(東芝EMI TOCT-8183)'93



元フリッパーズギターの小沢健二の1STソロアルバム、「DOGS(犬は吠えるがキャラバンは進む)」収録曲。おそらくは、「CURTIS MAYFIELD / TRIPPING OUT '80」や「山下達郎 / あまく危険な香り '82」辺りに直接の影響を受けたと思われるトラック使用曲。(更にそれらの元ネタは「REAL THING / RAININ' THROUGH MY SUNSHINE '78」)13分30秒と非常に長い曲だけど、ゆったりとした心地良いTRIPPING OUTトラックなので思わず時間が経つのを忘れて聞き入ってしまいますね。甘い切なげなメロディにこのトラックですから和風スウィートソウルといった趣きがあります。(参考記事:「山下達郎氏、意外な告白 「あまく危険な香り」はパクリではない 」

先日から自分の「甘茶ソウル精選MD」に入れ、他の黒人ソウルと並べて聴いているのですが、やはりという感じですが、ヴォーカルの線の細さが際立ってしまいますね。キーが合わないのか時折苦しそうだし。ただまあ、味といえば味という感じになりますかねえ。真面目に丁寧に歌いこむ様はその素人っぽさ故に逆に誠実さと切実感を醸して一種独特の世界を生み出している感じ。

甘茶ソウル的に残念なのは、歌詞が日本語なので彼のメッセージがダイレクトに伝わり過ぎて、折角の甘く心地良い雰囲気が損なわれていること。具体的には「神様を信じる強さを僕に」というゴスペル的な箇所などですね。個人的に宗教が大嫌いだから大いに萎えさせられます。そもそも「神様を信じる」のは「弱い」人間じゃないかよ(笑)とツッコミを入れてみたり。ただそういった歌詞だからこそ感じられるヒリヒリ感、人を引き込む力みたいなものを持った面白い曲ではあると思います。

山下達郎 / あまく危険な香り 山下達郎作曲編曲 (AIR RAS508)'82
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日本産甘茶ソウルと言えば山下達郎82年のこの名作。曲名もイカしてますね。同じ甘茶系シカゴソウル「CURTIS MAYFIELD / TRIPPING OUT」と全く同じゆったりとしたベースラインが印象的。曲全体に漂う浮遊感は両者共通ですが、達郎版の甘くまったりとした味わい深いメロディは黄金旋律と呼びたくなるほど出来がいい。達郎氏自身がカーティス・メイフィールドを敬愛している(ラジオでも特集をくんでいる)ことや、曲の発表時期、その印象的なベースラインなどから、この曲はカーティス版へのオマージュとして作られた、というのが音楽ファンの通説だと思っていましたが、、、。2007年3月25日の山下達郎SSBで次のような発言がありました。

【天地身命に賭けて「あまく危険な香り」は「CURTIS MAYFIELD / TRIPPING OUT '80」のパクリではない。RSO時代のカーティスはあまり好きではなくて「あまく危険な香り」を81年にレコーデイングするまでは、「TRIPPING OUT」は一度も聴いたことがなかった。リズムパターンは同じだけどパクリではない。むしろこれだけよく似たオケが作れたことを褒めて欲しいぐらいだ。】

そうだったのか!オマージュじゃなかったんだあ。これには意外でビックリです。しかし、オマージュはともかく盗作などという発言がそれほど大々的に話題になっているのを耳にしたことはないので、何故いま今回の発言があったのでしょう。ある程度音楽に造詣の深いものならば、「恋はあせらず」トラックの例を出すまでもなく、メロディはともかく、この種のトラックの類似性に盗作うんぬんなどと浅はかな発言をするはずもない。達郎氏も、パクリなどという品性の無い言葉でこれだけの名作を貶めようとする、音楽に造詣の浅い人間の言葉に耳を貸す必要は全くなく、又わざわざコメントする必要もなかったと思う。

ただし個人的には「では何故この時期にこれだけ似たトラックが出来たのか?」ということに関心が向きます。ソウルではよくあるトラックなのでしょうか?カーティス、山下達郎が同時に参考にしたであろう基幹トラックがあるのでしょうか?ご存知の方、教えて下さい。(その後こちらでいくつか重要な意見を頂戴いたしました。)

追記:その後、2015年11月15日のSSBにおいて「LOVELY DAY / BILL WITHERS '77」がオンエアされた際に「私の大好きなリズム・パターン。こういうのかけると『ああ、これまたパクってる』とかそういうこと言う人が、あげつらう人がいますが、因みにカーティス・メイフィールドのトリッピング・アウトは80年の作品ですから、トリッピング・アウトはこれをパクってるんでしょうかね?」との発言がありました。








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